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【2025/04/22 00:44 】 |
ep.3 桃色台風 -ピンク・タイフーン-

【これまでのあらすじ】

元貴族のサータルス卿からの依頼で、視線の主を探っていたヒヨコ神社の面々。
卿のあとを付回すピンク服の少女の存在に気がついたものの、卿の妹エクセリアに寄生した魔物シャドウとの戦闘中に少女を見失ってしまった。
一夜明けて、ヒヨコ神社に訪ねてきたのは・・・。


「ちょっと!そこを動くんじゃないよっ!」
慧さまは、慌てて外に飛び出すと少女の腕をとって家の中に引きずり込んだ。

「そんなに慌てなくても、逃げも隠れもしませんよぉ」
コロコロと笑うのは、ピンクのメイド服を着た少女。サータルス邸から姿を消した少女であった。

「はんっ!そんなの信用できないわねっ、あんた、昨日も隙をみて逃げ出したじゃない!」
慧さまが鼻白む。

「お姉さま、どうなさいました?」

「・・・」

それぞれの寝室から出てきた二人に、少女を睨みつけたまま慧さまが、

「こいつが卿のあとを尾けていた犯人よっ!昨日、ドサクサにまぎれていなくなってたけど、もう逃げられないと観念して出頭してきたわけねっ・・・」

「まぁ・・・」


「ふ~む」

「ちょっと違うかなぁ~」

「うるさ~~いっ!キリキリ吐かせてやるから覚悟しなさい」

「ま、まぁ・・・お姉さまも落ち着いて・・・。とにかく、コーヒーでも飲みながらゆっくり話を聞かせてもらいましょう。」

「あ、私、コーヒー飲めないのでぇ、お茶にしてくれませんかぁ?」

「くうぅぅぅ・・・」
あっ、お姉さま、切れそう・・・

斎はワナワナと震える慧さまを見ながらため息をついた。

今日は朝からとんでもない一日になりそうだ・・・




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【2010/04/07 00:03 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
ep.2 だれか様がみてる -後篇-

「ごきげんよう」

「ごきげんよう」

すれ違った人に思わず挨拶をしてしまう、とても気持ちのいい朝。
リセリア城の中庭に集う乙女たちが、天使のような微笑みを浮かべ、城門をくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、淡い色の制服。
スカートのプリーツは乱さないように、ヘッドセットは揺らさないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない娘など存在しているわけがない。

ファンブルグ名物露店。

ここは乙女たちの楽園かつ戦場なのだ。



そんな乙女たちに交じった少女がひとり。

(今日も一日がんばらなくては!)


胸の前で小さくガッツポーズをすると、少女はバスケットを腕に下げて歩き始めた。

あれっ、そっちは違うんじゃない?
他の乙女たちは東地区のメインストリートの方に向かっているのに、その娘は反対の西地区の病院の方に向かっていく。



入り組んだ小路を迷うことなく進んでいくあたり、初めてではなく何度も通ってるのかもしれない。


やがてとある1軒の屋敷の前にくると、ぺこっと頭を下げてからその門の前を通り過ぎて、隣家の垣根との隙間にペタンと座った。
そして腕に下げたバスケットからお茶の入った水筒とバケットと取り出すと、懐中時計で時間を確かめる。秒針が12を指し8時30分になったのを見るめると、先ほどの家の方を向いて

「いただきます」
と言ってから、バケットをちぎって口に入れた。



「今日こそうまくいくといいなぁ・・・」
少女はお茶のカップを置くとそう呟いた。






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【2010/04/04 23:08 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
ep.2 だれか様がみてる -前篇-


ああ、あなたはなんて楽しそうに笑うんだろう。

なんて優しい目をしてその子たちを見るのだろう。


そしてあなたは、



どうして、わたしの思いに気づいてくれないのだろう・・・







「猫の筆」事件以降、部屋が狭くなったなぁと慧さまは思っている。

別にモノが増えたわけではないのだけど、5匹の、いや、5人の猫たちが
頻繁に遊びに来るようになったからだ。
似顔絵描きのフュンフ以外の猫たちもそれぞれ仕事はあるようだが、入れ
替わり立ち替わり、誰かは必ず遊びに来ている。

(斎っちゃんもあの子たち甘やかすからなぁ・・・)
そう思いながら斎(いつき)の方を見る。

当の斎はなんとなく、
(今日もそろそろ来るんじゃないかしら・・・。)
と、そわそわしてるように見える。

そのことが決して不快ではなく、むしろ好ましく感じてることには気づいて
いない慧さまだった。


そんな慧さまの気持ちを察したのか、

ドンドンドン

ノッカーが悲鳴を上げる。


(ほら、いつもの一日が始まった・・・。)



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【2010/04/03 11:22 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(1) | トラックバック()
ep.1 しっぽキャット
その場所はファンブルグの街でもかなりわかりづらい一画にある。


口頭で説明するのは難しいし、来た事のある人に連れてきてもらうにしても、
だいたい知っている人が少ない。
運よく建物にたどり着いたとしてもドアの位置が陰に隠れている上、油切れで
渋くなっているため動かしてみて開かないと諦めてしまう人もいるのではない
だろうか・・・。


つまるところ、斎(いつき)は訪れる人が少ない理由をそんな風にとらえている。


決して、先代に比べて自分達が頼りないのではないかという根も葉もない噂が、
依頼人の足を留めているわけではないと・・・。


斎は、ふんふん♪と聞き覚えのある曲を口ずさみながら、淹れたてのお茶を
お盆に載せ、部屋の片隅で大きな斧刃を研いでいる男に声をかけた。


「左之助さん、お茶がはいりました」

斎は微笑みながらお茶を置くと、

「・・・かたじけない」

左之助と呼ばれた男は顔も上げずに礼だけ言って黙々と作業を続けている。

左之助は使った後はもちろん、使用していなくても暇さえあれば武器の
手入れを行っている。

丁寧に汚れを洗い落とし乾燥させ、刃物用の油などを塗布してから乾燥
した場所で保管する。時間のある時は、ヤスリを使って丁寧に仕上げる。
斧に限らず刃物は刃こぼれがあると切れ味が落ちる。小さな刃こぼれひとつ
見落とすまいと仔細に斧刃を見ていたが、満足のいく出来になったのか、
左之助はふっと息をはいて、斧を置くとようやくお茶に手を伸ばした。


斎は軽く会釈をして離れた。



「お姉さま、お茶が入りましたよ」
斎は階段に向かって声をかけた。

「いまいく~~」
という声とほとんど同時に、しゅたっと斎の傍らに降り立った少女。
五尺にわずかに足りない小柄な斎よりもさらに小柄で、後ろに寄せた
三つ編みを左右に垂らした風貌はローティーンにしか見えない。
はやての衣に迅雷の脚絆、髪飾りには珠のかんざしという「くのいち」
スタイル。

彼女がヒヨコ神社を束ねるリーダ、慧さま、その人である。

もう慣れっこになってしまったから驚くことはないが、ここに来た当時は
驚いた拍子に派手にお茶をぶちまけてしまったこともある。

お盆から自分の茶碗を取って階段に腰掛けると、慧さまは左之助に
声をかけた。

「左の字~、終わったら私の弓の手入れもお願い」

「断る」

「そんなこと言わないで、ちゃちゃっとやってよ、ねっ、ねっ?」

「私は元々飛び道具は使わぬゆえ、弓の手入れの方法は知らぬ。
ましてどんな武器であろうとちゃちゃっとする方法などは知らぬ」

「ちぇっ、けち・・・」

慧さまは、ぶっとふくれっつらをして、まだなにか言おうとしたとき、
めったに鳴ることのないノッカーが鳴った。



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【2010/04/01 21:29 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(2) | トラックバック()
プロローグ
ここではないどこか――
 
ファーレン王国、その首都ファンブルグ。

王宮、リセリア城の地下では、
長い間禁忌とされてきた異人召喚の
儀式が、
今再び執り行われようとしていた。

「異世界よりの客人(まろうど)に、世界を救う者あり」

伝説に語られる勇者の再来を、心待ちにする王族達。

すべてはこの世界に迫りつつある、大災厄の種をほふるため……。


突如、訳もわからず異世界に招かれてしまったあなたは、「
勇者候補」
として召喚されたにも関わらず試練に合格できず、
ファンブルグ市街に
放逐されてしまう。


これは、落ちこぼれの元・勇者候補達が、
ひとりの少女のために奏でる物語。
 

「勇者」じゃない僕たちにも、できること。


それは、手と手を、つなぐこと。



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【2010/03/30 23:53 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(0) | トラックバック()
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