ここではないどこか――
ファーレン王国、その首都ファンブルグ。
王宮、リセリア城の地下では、長い間禁忌とされてきた異人召喚の
儀式が、今再び執り行われようとしていた。
「異世界よりの客人(まろうど)に、世界を救う者あり」
伝説に語られる勇者の再来を、心待ちにする王族達。
すべてはこの世界に迫りつつある、大災厄の種をほふるため……。
突如、訳もわからず異世界に招かれてしまったあなたは、「勇者候補」
として召喚されたにも関わらず試練に合格できず、ファンブルグ市街に
放逐されてしまう。
これは、落ちこぼれの元・勇者候補達が、ひとりの少女のために奏でる物語。
「勇者」じゃない僕たちにも、できること。
それは、手と手を、つなぐこと。
放逐された後の「元・勇者候補達」の過ごし方は様々である。
レベルを上げ、自らの技を極め、来るべき大災厄に備えようとするもの。
そういった人たちに武器や防具、薬、食料などを提供し、主として物資面
からサポートするもの。
治療、回復、鑑定といった特殊技能でサポートするものもいる。
そんな中、混沌の中で雑草のように逞しく生きていくために、人のやらない
ような雑事を自ら進んで請け負う人たちがいた。
そんな請負人が集うファンブルグの街角の小さな祠は、いつの頃からか
「お祈りすれば願いがかなう」
と評判になっていった。
ご神体がヒヨコの姿をしていることから、誰呼ぶともなくついた名前が
「開運!ヒヨコ神社」
ヒヨコ神社を詣でる人はなくなる事はなかった。
これは、その「ヒヨコ神社」を根城にする請負人と彼らを取り巻く人々の
物語である。
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