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【2025/04/21 07:32 】 |
ep.6 決戦!リセリア城中庭 -後篇-

翌日の昼下がり。

昨日同様、心地よい薫風がリセリア城の中庭を通り過ぎていく。
すっかり葉桜になった中庭の一角になにやら人だかりがしている。

中央にテーブルには3人分の席。
そのテーブルを挟んで左右ハの字形に置かれたベンチには、それぞれ4人ずつ腰掛けられるスペースがあった。
向かって左側の青いベンチには『王立飛び研究所』の4人が、右側の赤いベンチにはヒヨコ神社の面々が座っている。

やがて、3人の人物が入ってきて中央のテーブルに着いた。


BANXは立ち上がると、慧さまに向かって言った。

「それでは、そろそろ勝負を始めましょうか」

「こっちはいつでもOKよ」

「本日の立会人というか審判役として3人に来ていただきました。」
BANXは振り返って、

「今さら、紹介しなくても構いませんね?アインさんはそちらからのご指名ですし、アーメイ教官はいやしくもここにいる方はみなお世話になっている方ですし・・・」

最後の一人を見ながら

「こちらは・・・」

「セバスチャンですっ!」
その女性はBANXが紹介する前に、突如立ち上がって、あわあわしながら名乗った。

「・・・そういうことにしておきましょう」ふっと笑うと、

「というわけで、判定はこの方たちにお願いします」

アイン、アーメイ、"あの人"・・・

「えーと、突っ込みたいところはいろいろあるけど・・・」こめかみを押さえて慧さまが言った。

「さっさと始めなさいよ!」

「審判長兼進行役は、アーメイ教官にお願いしようと思いますが?」

「異存はないわ!」

「アーメイ教官、よろしくお願いします」
BANXは慇懃に頭を下げた。



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【2010/04/22 22:12 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(3) | トラックバック()
ep.6 決戦!リセリア城中庭 -前篇-

五月晴れのファンブルグ。

心地よい春風が木々の間を通り過ぎてゆく。

(春ですねぇ・・・)
最後の洗濯物を干し終えた斎(いつき)は、空を見上げた。

真っ青な空が抜けるように高い。先日までのどんよりとした空が嘘みたいに思える。

「今日はいい日になりそうです」
晴れやかな気分でそう呟いた。

ほんの数刻のちに最悪に転ずるとは知るよしもなかった。

部屋に戻って洗濯道具を片付けると、お茶を淹れるために竃にケトルを乗せた。

(もうそろそろお姉さまも帰ってくる時分ですね)


「ふぁ~~~」
椅子に腰掛けて雑誌を眺めていたマミコがあくびをした。

先日の騒ぎで、棲み処に帰る道が再び使えるようになったのに、まだファンブルグに・・・というよりヒヨコ神社に居ついてしまっている。
(働かざるもの食うべからず)という慧さまのモットーで、失せ物探しや古物の鑑定をやってはいるものの、Grが低いため正直あまり役に立ってはいないようだが・・・。

左之助は、相変わらず無言で斧の手入れに余念がない。刃こぼれはもちろん、焼きが入ったりしていないか入念に確認している。もっとも、愛用の戦斧を使うような荒事はしばらく起こっていないのだけど・・・。


「お茶がはいりましたよ・・・」

「うわぁい、ありがとうございますぅ」

「・・・かたじけない」

湯飲みを渡して、自分もテーブルについて、ホッとため息をついたときだった・・・。

ダダダッ

ドン!バタン!



「決闘よっ!」部屋に飛び込んできた慧さまが言った。


「え~と・・・」
ほわほわした幸せ気分から戻りきれない斎。

「結婚ですかぁ?」ボケるマミコ。

「?」首をかしげる左之助。


「なに、ぼさっとしてるのよ!うちらの存在を賭けた闘いよ!用意しなさい!」
慧さまはいらだたしげに、急かす。

「お、お姉さま・・・、いったい誰と決闘なさるんですか?」
斎がようやく尋ねると、慧さまは応えた。

「決まってるでしょ!あの銀髪ジャージ眼鏡がやっている・・・」





『王立飛び研究所』とかいう組織よ!」



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【2010/04/22 22:00 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(2) | トラックバック()
ep.5 愛・覚えていますよね? -後篇-

そう遠くない過去。

とあるクエストに参加しているパーティがあった。
リーダーは若い女魔術師。しきりにメンバーに声をかけている。
彼らは疲労しているものの気力は充実しているように見えた。


ボス戦の前の小休止。

手持ちの回復薬の残量は、当初の予定よりも少なくなっている。
パーティのメンバーにクレリックや巫女はいない。
このまま行くか、近くの街に戻るか・・・リーダーは迷っているように見えた。
「大丈夫!このパーティならいける!」
メンバーの一人が言うと、初めてクエストに参加したという若い兵士も同意した。
「私もそう思います。行きましょう」
リーダーは、残ったメンバーを見やっていたが、彼らが首を振らないのを同意と受け止めたのだろう。立ち上がって言った。
「わかった・・・最後まで頑張ろうね」



ボス戦は熾烈を極めた。
話に聞いていたよりも格段に強い。
こちらの攻撃をかわされ、気を抜くとカウンターが飛んでくる。
薬による回復を担当していた封印術士が倒れてからは、劣勢に回ってしまった。


楯にしていたペットが倒れてしまった後衛に襲い掛かるボス。
巨大な戦斧の一撃は致命傷にはならなかったが、その場に崩れ落ちる。

リーダーは、魔物の前に飛び出して気を失ったメンバーを抱き起こすと、まだ立っている男に引き渡した。
「早く離れて!」
詠唱の構えに入ると二人を追い払うように腕を振った。

「やめろっ!そんな至近距離からでは、きみも巻き込まれる!」
傷ついたメンバーを抱えたまま叫ぶが、女魔術師はふふっと
「私を誰だと思ってるの?」不敵に笑う。

「あと一息で生きのびるというのに…こんな所でむざむざと・・・」

その瞬間、地面から吹き上がった火炎が魔物を包む。
「インフェルノ!!」


(終わった・・・)
誰もが思ったその時。



断末魔の魔物の手が魔術師のローブを捉えた。
「あっ・・・」

そして、軽々と引き寄せるとまるで炎の中で抱擁するように抱きかかえた。

男は絶叫した。


業火はすべてを焼き尽くすまで、納まることはなかった



 

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【2010/04/17 11:03 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(3) | トラックバック()
ep.5 愛・覚えていますよね? -前篇-

フレイヤ大陸のとある場所。市街地から離れた丘陵に先人達の眠る地があった。

墓標はいろいろな宗教が入り混じるこの地らしく、形も様式もまた様々であるが、そこに託す思いはひとつ。 


Rest in Peace (安らかなる眠り)



その墓標の前には、いつも新しい花束が供えられていた。

(あれからもう1年以上立つのですね・・・)

すでに置かれていた花束の上に自分の持ってきた一輪の花を乗せて、跪き頭を垂れた。

(王都は、きな臭い雰囲気が漂っています・・・。)

顔を上げ持っていた杖を胸の高さまで持ち上げて、

(あなたが護ろうとしたものは・・・私がきっと・・・)

そのシルエットは、もう一度黙祷を捧げると、ローブを翻してセメタリーをあとにした。



 


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【2010/04/12 23:01 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(3) | トラックバック()
ep.4 天鵞絨(ビロード)の雨

ベルベット・イースター

小雨の朝

光るしずく 窓にいっぱい






雨が落ちてきた。

降ってきたというより、唐突に落ちてきた感じ・・・。

空を見上げると鈍色の雲がさっきよりも増えていた。

(こっちでも雨が降るんだ・・・)

我ながら変な感想だと思う。

樹木の多い故郷では、枝や葉にさえぎられた雨が霧のように降り注ぐ。

落涙型の雨だれがポツリポツリと落ちてくる風景は珍しい。

樹々の間を高速で飛び交う獲物を捉える目には、落ちてくる雨だれの形がはっきり見えるのだ。





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【2010/04/08 19:36 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(4) | トラックバック()
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