忍者ブログ
  • 2017.11
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 31
  • 2018.01
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2017/12/14 07:21 】 |
ep.6 決戦!リセリア城中庭 -前篇-

五月晴れのファンブルグ。

心地よい春風が木々の間を通り過ぎてゆく。

(春ですねぇ・・・)
最後の洗濯物を干し終えた斎(いつき)は、空を見上げた。

真っ青な空が抜けるように高い。先日までのどんよりとした空が嘘みたいに思える。

「今日はいい日になりそうです」
晴れやかな気分でそう呟いた。

ほんの数刻のちに最悪に転ずるとは知るよしもなかった。

部屋に戻って洗濯道具を片付けると、お茶を淹れるために竃にケトルを乗せた。

(もうそろそろお姉さまも帰ってくる時分ですね)


「ふぁ~~~」
椅子に腰掛けて雑誌を眺めていたマミコがあくびをした。

先日の騒ぎで、棲み処に帰る道が再び使えるようになったのに、まだファンブルグに・・・というよりヒヨコ神社に居ついてしまっている。
(働かざるもの食うべからず)という慧さまのモットーで、失せ物探しや古物の鑑定をやってはいるものの、Grが低いため正直あまり役に立ってはいないようだが・・・。

左之助は、相変わらず無言で斧の手入れに余念がない。刃こぼれはもちろん、焼きが入ったりしていないか入念に確認している。もっとも、愛用の戦斧を使うような荒事はしばらく起こっていないのだけど・・・。


「お茶がはいりましたよ・・・」

「うわぁい、ありがとうございますぅ」

「・・・かたじけない」

湯飲みを渡して、自分もテーブルについて、ホッとため息をついたときだった・・・。

ダダダッ

ドン!バタン!



「決闘よっ!」部屋に飛び込んできた慧さまが言った。


「え~と・・・」
ほわほわした幸せ気分から戻りきれない斎。

「結婚ですかぁ?」ボケるマミコ。

「?」首をかしげる左之助。


「なに、ぼさっとしてるのよ!うちらの存在を賭けた闘いよ!用意しなさい!」
慧さまはいらだたしげに、急かす。

「お、お姉さま・・・、いったい誰と決闘なさるんですか?」
斎がようやく尋ねると、慧さまは応えた。

「決まってるでしょ!あの銀髪ジャージ眼鏡がやっている・・・」





『王立飛び研究所』とかいう組織よ!」




一方こちらは、王立飛び研究所。

「所長」というプレートが載った机に銀色のジャージを身にまとい眼鏡をかけた青年が座っている。
その前に立つ3人の男女。
将校服を着た中学生くらいの小柄な少年。
プリンセスドレスを着た幼女。
男物のシャツに大剣を背負った長身の女性・・・、なぜか室内でもサングラスをかけている。


「ということで、これから『ヒヨコ神社』という民間組織と威信を賭けた決闘を行うことになりました。」
所長の席に座った青年が、天候の話でもするように自然に切り出した。

「え~と、どこから突っ込んでみましょうか・・・」小柄な少年が言った。

「?」首をかしげる幼女。

「勝手にやってろ!」サングラスをかけた女性が吐き捨てるように言った。

「今回は4対4のチーム対抗戦ですので、グラ子さんにも参加していただきますよ?」

「そ、そうですよ・・・もともと、僕たちは戦闘向きではないんですから、用心棒のグラ子さんに抜けられたら困ります。」

「!」

「ちょっと待て!これにはぽんくすやお嬢も参加するのか?」
グラ子と呼ばれた女性が所長に詰め寄った。

「当然そうなりますね、さっきも言ったように4vs4の・・・ぐはっ」

「ああっ、グラ子さんっ!BANXさんをのしてしまったら戦力が・・・」

「!」

「心配するな、ぽんくす!こいつを再起不能にした上で、先方と話し合って決闘は取り止めさせる」

「ほっ・・・」
ぽんくすと呼ばれた少年は安堵のため息をついた。


「そうはいきませんよ・・・」
いつの間にか復活したBANX所長。

「もう引くことはできないんです・・・」
真剣な顔つきに、一同の動きが止まる。

「話を・・・」

ごくっ。息を飲むぽんくす。

「聞いていただけますね・・・?」
いつの間にか頷かざるを得ない空気が一同を取り巻いていた。




「つまりね、私からすると、これは完全に売られた喧嘩なわけよ・・・」
斎に問い詰められるまま、慧さまは語り始めた。


慧さまは、用事を済ませたあと、東地区の露店街をウインドゥショッピングしていた。

いつものように、武器専門店を覘いて出物を探していたときに、ふと目に付いた一張の弓。
強度の高い天然石を使用したクリスタルシューツである。

(へぇ~、こういうのが出回るのは珍しいわね~)

保存状態も悪くないし、値段も手ごろ。

買おうと思って手を伸ばしたところに、横から伸びてきた手が弓を掻っ攫っていった。

「ご主人、これを・・・」
銀髪でジャージに眼鏡の優男だ。

あっと思ったが、こういうところでは早もの勝ちなので文句は言えない。
まして、盗賊の自分が遅れを取ったとあっては、満座で恥を晒すようなもの・・・。
慧さまは、心の中で舌打ちをしたが、潔く諦めて店を出た。



東地区の大通りを西に向かっていくと、ブティック等おしゃれを扱う店が増えてくる。
慧さまとて、おしゃれに興味がないわけではない。
きれいな衣装をみていると心はウキウキしてくる。ふと見ると、店頭に特価品として吊るされているのは、高名なデザイナーがデザインした「なでしこセット」ではないか?

「なでしこセット」は振袖とミニスカートの融合を図った画期的なドレスセットで、女の子に絶大な人気を誇っている。
あっという間に売り切れてしまい、今となっては手に入らない貴重な一品である。

思わず手を伸ばしたときに、またも横から手が伸びて同時にドレスを掴んだ。



反対側でドレスを掴んでいるのは、なんと先ほどの銀髪ジャージに眼鏡の男。

「ちょっと・・・これ・・・私が先に・・・」

「いやいや、それはあなたの勘違いでしょう・・・これは私が先に手に取ったものですよ?」
両側からドレスを挟んで睨み合う。

「あんた、さっきも横から手を出して・・・」

「それは偶然じゃないですか?」

「これは、女性用なんだけど?」

「わかってますよ?」

「へん・・・恋人にでもプレゼントしようというの・・・」

「私が着るんですが、なにか?」

ブチッ

「ふざんけんじゃないわよ!」
慧さまが切れた。

「もう頭にきた!いいから手を離せっての!」

「そちらこそ離してくれませんかね?」

騒ぎを聞きつけて出てきた店主がドレス引っ張りあう二人を見て悲鳴をあげた。

「あああ、大事な売り物がぁぁぁああ」

「こうなったら・・・」慧さまの後ろに炎のオーラが巻き起こる。

「ふふっ、力づくで雌雄を決するしかないということですね」
相手のジャージ眼鏡の後ろにも同じように氷のオーラが・・・。

バチバチと対峙する二人の視線間で火花が飛ぶ。

「ふん、受けて立つわよ。そうね・・・明日のこの時刻・・・。場所はリセリア城中庭よ」

持っていたドレスを手放す慧さま。

「名前を伺っておきましょうか・・・」
同じくドレスから手を離した眼鏡が尋ねる。

「ヒヨコ神社の慧よ」

「ほう・・・あなたが慧さまですか・・・、私は『王立飛び研究所』のBANX・・・」

「王の手下になんか興味ないわ・・・首を洗って待ってなさい」
と、くるりと背を向ける。

「楽しみですよ、慧さま・・・」
見送るBANXが呟いた。

ようやくドレスを離した二人を見た店主は、ほっと胸を撫でおろし奥から塩つぼを持ってきて塩をまいた。



「というわけなのよ」と語り終えた慧さまに、
「なにハードボイルドしてるんですかっ!」
斎が突っ込む。

「まぁ、そのぉ・・・勢いってやつ・・・?」
斎の見幕に口ごもる慧さま。

「どうなってもしりませんからねっ」

「ははっ、大丈夫だって・・・帰り道で噂聞いてきたけど、『王立飛び研究所』って、4名の職員中、戦闘員は1名。しかも残りのうち2名はレベル1だっていうし・・・」

「何いってるんですか・・・そんな人たちを傷つけでもしたら、世間の非難は全部こちらに集まってしまうんですよ!」

「うっ・・・」

「しかも、万が一、勝ったとしても、王立機関なんかと闘ってファンブルグ近衛騎士団に目をつけられたらどうするんですか!仕事やりにくくなるんですよ・・・」
プンプンと怒る斎。

「もう遅いもん!」
慧さまは逆ギレして、

「宣戦布告しちゃったし、とにかく『王立飛び研究所』なんか、二度とうちらに喧嘩売ろうなんて思えないように、けちょんけちょんにしてやるんだもん・・・」と息巻いた。




一方、再び王立飛び研究所。

語り終わると同時にサングラ子にボコボコにされたBANX所長を取り囲んで、会議は続いていた。

「とりあえず、こいつの始末は後でつけるとして、なんとかしないとな・・・」

「請負人なんて・・・ガチの武闘派じゃないですか!そんなの相手するなんて無理ですって・・・」
嘆息するぽんくす。

「?」

「お嬢とぽんくすは勝負にならねぇ・・・」サングラ子は呟いた。

「俺と・・・」
地に伏したBANX所長を見ながら、

「コレで2勝しなきゃならないのは絶望的だな・・・」

「そんな~」

「なんとかなりますよ」

「!」

いきなり復活したBANX所長に蹴りを見舞いながら、
「無責任なことぬかすなっ!」
サングラ子は吼えた。


「私はこうみえて」
眼鏡がキラリと光った。

「どんな勝負であれ、負けるのは大嫌いなんですよ?」
所長は、不安そうな顔、怪訝な顔、不審な顔・・・見渡してから、続けた。

「まあ、明日を楽しみにしててください、ふふふ・・・」





後篇に続く


 

拍手[0回]

PR
【2010/04/22 22:00 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(2) | トラックバック(0)
<<ep.6 決戦!リセリア城中庭 -後篇- | ホーム | ep.5 愛・覚えていますよね? -後篇->>
有り難いご意見
無題
題名は某アニメからですなw

慧さまの女性らしい一面が見れましたねぇ。

逆切れがまたなんともいえませんw
【2010/04/24 03:30】| | 樽卿 #9362d15f14 [ 編集 ]
Re:無題
お察しの通り、新世紀エヴァンゲリオンの「決戦、第3新東京市」から頂きました。

慧さまは精神的には、実年齢よりはるかに若いです。いくつかは内緒ですが・・・。
【2010/05/06 23:45】


無題
気になってたものを
横からとっれるなんて…

これは決闘に勝たなきゃですねw
【2010/04/24 14:06】| | みい #8de7d817f0 [ 編集 ]
Re:無題
まあ、喧嘩のきっかけなんてそんなもんですよね・・・w

今回は、作中のBANX所長は、慧さまを挑発するためにわざとやってるんですけどね。
【2010/05/06 23:47】


貴重なご意見の投稿














虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>