忍者ブログ
  • 2024.10
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 6
  • 7
  • 8
  • 9
  • 10
  • 11
  • 12
  • 13
  • 14
  • 15
  • 16
  • 17
  • 18
  • 19
  • 20
  • 21
  • 22
  • 23
  • 24
  • 25
  • 26
  • 27
  • 28
  • 29
  • 30
  • 2024.12
[PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【2024/11/24 05:14 】 |
エピローグ
それから1週間。

大晦日のファンブルグの街は、新年の準備で賑わっている。

2年参り」ならぬ「2年クエスト」とかで、新年をクエストで迎える冒険者たちは、薬と食料を買い込むと、お目当てのダンジョンに向かった。

そうでなくても、新年は物流が停滞するであろうと、装備や物品の買いだめをする人々で街は混雑している。


今年のクリスマス・イブも何事もなく終わった。

ミサに出席した人々は、説教が司祭長ではなく副司祭長であったことに首をかしげていたが、それもすぐに忘れられた。





 

 

 

 

巫女服に着替えた斎(いつき)は神社の境内を庭箒で掃いていた。

(今夜は忙しくなりそうですね)

小さなお社ではあるが、参拝の客はそれなりに多い。
冷たくなった手にそっと息を吹きかけ空を見上げた。空は抜けるように青かった。



姉さんかぶりで脚立にのった左之助は、天井のすすを払っていた。
サポートするのはアインを筆頭とするにゃんこたち。

「さーにゃ、そっち、まだ蜘蛛の巣が残ってるにゃ」

「払」
ツヴァイが指をさす。

「ぐずぐずしてると年越しに間に合わなくなるにゃ・・・」
腕組みするドライ。

「う、うむ・・・」
左之助は、にゃんこたちの指示で手を伸ばすが、バランスを崩してわたわたしてしまう。

「・・・やりの あつかいはうまいのに はたきが ちゅかえないのが しんじられにゃいにゃ」
フィーアが溜息をついた。


★ 

「たらいま~」

「ふぅ、ただいまです~」
フュンフとみい姉が両手に袋を下げて帰ってきた。

「おかえりなさいぃ」
前掛けで手を拭きながら、マミコが出迎える。

「これで頼まれたものは全部だと思います」

「うん、ねこもいっしょにみたからまちがいにゃいよ・・・」

「お疲れ様ですぅ。暖かいミルクありますから飲んでくださいねぇ」

荷物を台所に運びながら、みい姉はマミコに尋ねた。

「おせち料理の方は大丈夫ですか?」

「うん、もう、ほとんど終わりましたぁ、あとはお重箱に詰めるだけですぅ」

「おてつだいすることがあったらゆってね」

「はーいっ」
マミコはフュンフに頷いた。



「やっぱりこれ着るの?」

「新年なんだから、やっぱり和装だろう?」

「着なれているものの方がいいんだけどなぁ」

「だからって、白衣ってわけにはいかないだろう・・・」

手にした着物を見ながらため息をつくエクサリア。

「ぐずぐずしていると置いて行くぞ」
業を煮やしたサータルスが腰を上げかけると、

「紐で縛られるようで好きじゃないのよねぇ・・・」
まだぶつぶつ言いながらも、自室に着替えに戻った。

★ 

「ヴォルケーノ!」
神馬に跨ったスール・・・いや、ユカリコが呪文を唱える。

最後の1匹が燃え尽きると、他のメンバーが安堵のため息をついた。

「お疲れ様でした・・・」
一行のリーダー格の男がねぎらいの言葉をかける。

「ああ・・・」
ユカリコは言葉少なに頷く。

「これからどちらへ?」

「・・・西の方へでも行ってみようかと思っている」

「そうですか、では、途中のセラルカまでご一緒に・・・」

「ああ・・・」
ユカリコはもう一度頷くと、しっかり杖を握り直した。




王立飛び研究所。

「おいっ、ぼけっとしてないで、さっさと片付けろよ」

「はいはい・・・まったく人使いが荒いですね・・・」

「貴様・・・、どの口が、そういうことを言う・・・」

「確かにグラ子さんのおかげで、アインくんやみいさんたちを助けることができましたしね」

「バッチに発信器を仕掛けてあるなら、そう言っておけばいいのに・・・」

「それじゃあ、スリルがないじゃないですか?」

「貴様・・・」
サングラ子は大剣を抜いた。

「そんな理由で、子供を危険な目にあわせるな!!」
研究所に怒声が響いた。



「お姉さま、お姉さま・・・準備できましたか?」
階段を上って、部屋の主に声をかける。

「あ~~、斎っちゃん、これさ・・・どうもうまくまとまらなくて・・・」
緋色の袴の紐を持て余している様子に、斎はため息をついた。

「もう・・・、この前も教えたじゃないですか!」


「そんなの、もう忘れたわよ・・・」

「ちゃんと覚えてください!」
袴の紐を縛り直しながら言う。

「はいはい・・・」

「お姉さまは、このヒヨコ神社のリーダーなんですからねっ!」

「・・・わかったわよ」

「さあ、みんなが待ってますよ・・・」

「うん!行こう!」
慧さまは軽やかに階段を飛び降りた。


やがて、ファンブルグの街にも除夜の鐘が響きわたるだろう。


その鐘を鳴らしているのは、あなたかもしれない。







ヒヨコ神社 第一部 完

拍手[4回]

PR
【2010/07/20 00:01 】 | メインストーリー | 有り難いご意見(2) | トラックバック()
<<あとがき・・・っぽいもの④ | ホーム | ep.13 みんなのうた -最後の詩->>
有り難いご意見
無題
司祭長は勇者候補だったんですね。
【2010/07/20 01:45】| | キャヴェ #9a75acb583 [ 編集 ]
Re:無題
そうですね。
きっと要職についてる方々の中にも、元をただせば召喚された人・・・手言うの人もいるんじゃないでしょうか。
そう思って書いてみました。
【2010/07/20 22:43】


無題
最後まで読んでから感想を…と思ったのに、なんだかテキストにしてしまうと今ここにある気持ちが抜けてしまうような気がします。感想は山ほどあるのにねえ。
お会いしてお話したときに伝えられたと思うので、ここでは、これだけ。

あー、おもしろかったーーー!
【2010/07/21 15:25】| URL | 小梅 #5754ca4ebb [ 編集 ]
Re:無題
いろいろアドバイスもらったり、本当にお世話になりました。
最後まで続けられたのも小梅さんのおかげだと思っています。

最高の褒め言葉です。
【2010/07/23 23:09】


貴重なご意見の投稿














虎カムバック
トラックバックURL

<<前ページ | ホーム | 次ページ>>